どんな困難な状況にあっても心をひとつにして祈り、あきらめることなく願えば必ず主は応えてくださる――このDVDを観て感じた想いです。
数年前、長崎に仕事で訪れたおり、早朝に大浦教会でのミサに与るため、ホテルからあの急坂を上っていきました。行き交う人もなく静かな深い闇に包まれたような景色の中、足下だけを見ながら上りきると大浦天主堂が目に飛び込んできました。紺碧の空に包まれて白く荘厳な佇まいの聖堂を見上げ、畏敬の念を覚えずにいられませんでした。
先人たちがどのような思いを抱きながらあの坂を上り聖堂へと足を踏み入れたのか――この舞台に登場する人々に寄り添って見てみると、どれほどの希望とともに恐怖を感じながら決断したのかが想像できます。
いかに困難な状況の下にあっても彼らの神への絶対的信頼を目の当たりにすると、果たして自分の信仰はここまで強いものだろうかと考えさせられました。
長崎のみならず日本各地でのキリスト教弾圧、殉教の話は書籍や映画、殉教地を訪れた際に石碑などに刻まれた史実を目にし、理解したと思い込んでいました。今思うと、それは歴史の中の出来事として自分にとってはどこか遠いことだったのかもしれません。
この日本で信仰を守り抜いた人々が確かにいた。彼らは信仰の灯火を決して消すことのないように、次の世代へと「ことば」と「ことばにできない模範」を通して伝え、私たちへと繋げてくれたのだと改めて感じさせられました。
そして、やはり女性は強い。プチジャン神父に向かい「サンタ・マリアのご像はどこ?」と尋ねたのも女性でした。守るべき存在(子孫)を持った女性は特に強いと感じます。
今、世界中で見えない敵(新型コロナウイルス)と多くの方が闘っています。「我らの胸、あなたと同じ」-同じ信仰を持った人だけでなく、皆がそれぞれの置かれた場所でそれぞれの方法でこの試練の時を耐え、互いに手を携えて一日も早い終息を祈っていると思います。
人間の弱さ・愚かさを知り、神が呼びかけておられる声にいかに耳を傾けることができるかを知り、一番必要なものは何なのかに気づくことができたならば――この長崎の人々のように願いが聞き届けられるのではないでしょうか。
(カトリック碑文谷教会 モニカ K.T. 様)