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ものがたり

一幕 第一場 江戸時代末期、長崎。キリシタン禁教令のもと、200年以上、毎年奉行所の役人により、踏み絵がおこなわれている。7世代にわたり密かに信仰を守り続けているキリシタンたちの一人、新吉もいやいや踏み絵を踏まされ、その後痛悔の祈りを唱え、足を洗った桶の水を飲む。

第二場 マリア観音の前で、ただ一人残った世話役、水方の又市が赤ん坊の杉本ヤスに洗礼を授ける。

第三場 ナタラ(クリスマス)の夜、ひそかに信仰を守る村人たちが、又市の家に集まっている。見張りをたて、役人の見回りを知らせる笛が鳴ると、宴会で酔ったふりをして、踊ってごまかす。役人が帰ると、いつまでこんなことを、と、なげきつつも、7代経てば、パードレが来るというバスチャンの予言を頼みとし、迫害、殉教にめげず、信仰を守り通した先祖たちを思い起こし、互いに励ましあう。

二幕 開国した日本の外国人居留地のある長崎に、パリ外国宣教会のプチジャン神父たちは、天主堂を建設している。そこを訪れた長崎奉行河津守は、フランス語学校の先生を頼む傍ら、日本ではまだ禁教令が解けていないことを念を押して帰る。ローマでは日本の殉教者26人が列聖され、プチジャン神父たちは日本にはまだ密かに信仰を守っているキリシタンたちが存在し、この天主堂に現れるのではないかという希望を捨てずにいる。

三幕 第一場 これからサバト寄り(土曜日の集まり)の行われる多十の家の庭先。話題は長崎に完成した天主堂(フランス寺)のこと。いよいよキリシタンたち待望のパードレが来たのか、危険を冒しても確かめに行くか、村でも議論になっている。

第二場 多十の家。サバト寄りで皆が集まっている。産婆のゆりが仕事のついでにフランス寺を覗きに行った話をする。同じ黒い服を着て、十字架を下げていても、ローマの使いで、サンタマリアを崇敬し、ビルゼンでなければ、彼らの待ち望むパードレではないという、見分け方が伝えられている。ゆりは一人でも確かめに行くつもりでいるが、村の男たちが来て、反対する。

四幕 第一場 杉本ゆりの家。今度こそパードレに違いないと、反対されても確かめに行こうと、何かに突き動かされたように心を決めたゆりは、家族を呼んで、いとまごいのようなことをする。

第二場 早朝、ゆりの家に女たちがそっと家を抜け出して集まってくる。それに多十と八が加わって出発する。一行は三つの違うルートから天主堂に向かう。

五幕 第一場 天主堂への道の途中、反対した男たちが追いかけてくる。思いとどまらせることが出来なければ、彼らも加勢する、と言って、一行に加わる。

第二場 天主堂で、プチジャン神父も何か胸騒ぎを感じて祈っている。外に人の気配がし、扉を開ける。いよいよサンタマリアのご像の下、世界のカトリック史上奇蹟ともいえる日本の教会の“復活”の瞬間が訪れる。