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推薦文

「『カロル』を見たか」

晴佐久昌英(カトリック司祭)

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こうして、聖ヨハネ・パウロ二世教皇様の映画の推薦文を書けるなんて、なんと光栄なことだろう!
たぶん筆者は、聖ヨハネ・パウロ二世の訪日ミサ、大聖年のワールドユースデーミサ、葬儀ミサ、列聖式ミサの、すべてに出席した唯一の日本人だと思うが、この教皇をわが親と慕ういわゆる「パパチルドレン」としては、ただただ、敬愛するこの「パパ」の映画を一人でも多くの人に見てもらいたいという気持ちでいっぱいである。
見れば、分かる。このパパが若いころからどれほど重い十字架を背負ってきたか。それでいながら、どれほど強くしなやかに信仰と希望を保ち続けてきたか。多くの困難の中で、司祭、司教としてどれだけ人々を愛し、教会を愛し、キリストを愛し続けてきたか。だからこそ彼は教皇に選ばれ、人々に愛され、世界を導くことさえ出来たのだ。
映画で扱われているのは彼が教皇になるまでだが、一つひとつのエピソードに感動して涙を流しているうちに、「なるほど、だから彼は教皇としてああ言ったのか、だからあのように行動したのか」と目を開かれる思いがして、いっそう親愛の情が増した。ちょうど一人の息子が、亡き父の若いころを知って、いっそう父への理解と愛情を深めるように。
ヨハネ・パウロ二世の帰天後、彼をもっと知るために、ゆかりの地を回る巡礼旅行を三回に分けて行ったのだが、行く先々で現地の人に聞かれたものだ。「『カロル』を見たか」と。「まだだ」と答えるたびにひどく悔しい思いをしてきたのだが、このたびついに日本語版が出ることになって、本当にうれしい。
改めてこの作品を見て、彼らが「『カロル』を見たか」と、目を輝かせながら尋ねる気持ちがよく分かった。その画面には、今も現実に人々を救っている、生きたキリストが映っているのだから。
おかげでこれからは、こちらが聞いて回る番になった。「『カロル』を見たか」、と