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映画評

『聖ヨハネ二十三世 平和の教皇』

鈴木 浩

film_critic_ts なぜ今、ヨハネ二十三世なのか。彼はどんな教皇だったのか。「平和の教皇」と呼ばれ、世界中から慕われたのはなぜか。これらの問いにこの映画はたった三時間(前後篇)で見事に答えてくれる。キューバ危機の際、米ソの仲介者として核戦争を回避させる。またカトリック教会の刷新を意図して公会議を開催する。「貧しい田舎司祭になりたかっただけなのに」といいながらも教皇として歴史に残る偉業を成し遂げていく姿に心打たれる。防衛のためには軍備が不可欠という論理がまかり通り、今また核戦争の脅威が広がる現代において、「平和の教皇」ヨハネ二十三世の人となり、考え、そして平和を実現するための葛藤を映画を通して知ることの意義は大きい。常に対話の大切さを説き、温かい人柄で万人の心を開いていく教皇。見終わると、ヨハネ二十三世がグンと身近な存在になっていた。


シグニスジャパン映画チーム代表、㈲暮らしの映像社 プロデューサー/ディレクター